EMC活動(中越沖地震災害対策支援GISチーム地図作成班)

EMC活動の背景・経緯

2007年7月16日10時13分頃、新潟県上中越沖を震源にマグニチュード6.8の地震が発生しました。いわゆる中越沖地震です。

地震発生翌日、泉田新潟県知事からの「災害対応の状況をわかりやすく地図化できないか」という声に応える形で、京都大学防災研究所の林春男教授よりにいがたGIS協議会に支援要請があり、ナカノアイシステムをはじめとした協議会の会員企業が航空写真・地形図・住宅地図や機材を新潟県庁に持ち寄りました。これが新潟県中越沖地震災害対応支援GISチームの始まりです。

このチームは、中越沖地震による被災地の情報を収集し、GISを活用した効率的な災害対応を行うために結成されました。

そしてこのチームでは、被災状況や復旧状況を電子地図化するための実働部隊として、新潟県庁内の一室に地図作成班(EMC「Emergency Mapping Center」)を組織しました。EMCでは、災害対策本部からのさまざまな依頼に対して、GISを活用し各種主題地図(被災状況や復旧状況などを示した地図)を作成します。

地図作成にあたっては、にいがたGIS協議会の会員企業の社員が毎日10人程度常駐し、要望に応じて印刷図や電子データを提供しました。当社社員もその一員として地図作成に携わり、7月19日から8月10日の活動期間中、毎日交代で新潟県庁に通いボランティアで作業を実施しました。

期間中、作成した地図は200種以上に上ります。これだけ多くの依頼を3週間余りの間に対応できたのは、3年前の中越地震を機に発足した協議会が、災害時においては企業を超えた支援活動に当たる心構えを日頃からしていたからだと思います。中越地震で得た教訓やノウハウを活かし、業務ルールに則って効率的に作業を進めました。


地図作成班(EMC)


EMC内風景


作成された多くの地図
地図作成の流れ

EMCは以下のルールに則って活動をしました。

1. 受付相談者が、作成依頼者から目的・作成期限などの聞き取りを行い、依頼書を発行します。この時、作成依頼者の意図を十分にくみ取り助言を行う必要があり、受付相談者は豊富な知識とコミュニケーション能力が必要とされました。
地図作成のための基礎資料はかならず電子データで受け取ります。紙の資料だと値の判読や入力作業に手間取ったりするからです。

地図作成までの流れ

2. 発行された依頼書は、別室(工場と呼んでいた)の地図作成者に手渡され、受付相談者と依頼内容を確認し作業に入ります。
基本的には工場の地図作成者が、作成依頼者と直接面談することはありませんでした。おかげで地図作成者は作業に専念することができました。

EMC工場風景

3. 作成された地図は、受付相談者から作成依頼者に納品されます。作成依頼者から受領印をもらい一つの依頼が完了したことになります。

このように、受付相談者と地図作成者がきちんと役割分担したことで、効果的かつ効率的に作業を行うことができました。

まとめ

普段の業務では、専門の技術者が業務仕様にもとづいて発注者とじっくり打ち合わせを行い、その中で実現のための難易度、作成期間、および成果品のイメージなどを伝えることができます。

しかし、この活動では受付・相談者が各部局からの多種多様な依頼に対し、それらをその場で判断し短時間で理解してもらえるようわかりやすく説明しなければいけません。つまり受付・相談者に配置された者にかなりの知識と経験が要求されるわけですが、異業種企業から選抜された精鋭スタッフということもあり対応することができました。

また、作成期限のほとんどが「今日中」だったのですが、依頼が集中したときなどは深夜まで作業を続け、責任を持って完成させました。

このようにさまざまな苦労がありましたが、依頼時には一覧表でしかなかったデータが地図上に展開されたのを見て、「非常にわかりやすい!」と喜んでいただけたときには、達成感と充実感を感じることができました。

関連リンク
平成19年新潟県中越沖地震におけるGISを利用した地図作成について(新潟県庁ホームページ)